菅さん提供
サネカズラ(実葛 常緑つる性木本 マツブサ科) 花
花期8月 果期11月
花が少なくなりがちなじりじりと照り付けるような日差しの下で、8月の庭を彩ってくれる代表的な花木と言えばサルスベリとムクゲでしょうか。サルスベリは樹冠いっぱいに花を咲かせ、ムクゲは大型の花をつけ、共に暑さなどものともしないたたずまいを見せてくれます。
この時期、街中を離れて郊外にでると、緑一色の山、季語でいうところの「山滴る」情景に出会え、クサギ、カラスザンショウ、リョウブ、タラノキなどの花が見られます。小高木から高木の木々で緑の中でそれぞれ良く目立つ花をつけます。
そんな中に他の木に絡みついて花を咲かせている葛があります。とは言っても花の直径は1.5㎝程度。その上に常緑の葉に隠れるように咲くので注意して見ないと分かりません。葛の名はサネカズラ、またの名はビナンカズラで漢字では美男葛。花の中が赤いのは雄花で雌花は緑をしています。
この葛と美男とのかかわりはその昔、この樹皮を剥ぎ、細かくつぶして水に浸して出てくる強い粘り気のある液体を男達は、髪のほつれを整えたり髷(まげ)を結ったりしで髪を整え、男振りを上げることから、美男葛と呼ばれるようになったのだとか。この粘液は日本の伝統的な和紙作りの工程に使われる糊料としても使われた歴史があります。
一方のサネカズラの由来は、実(果実)や種を古くから「サネ」と称し、秋になると粒々の小さな実が丸く集まった真っ赤で美しい果実を実らせるため、実が際立って目立つ蔓という意味から実葛(サネカズラ)と呼ぶようになったそうで、この呼称は万葉集にもあるとのこと。
けだし、サネカズラを印象付けるのは花よりも果実の方でしょう。地球外生命体と思えるような形から子供のころは敬遠していましたが、生け花の花材に使われたりもします。生で食べても美味しくないそうですが、
果実酒にすると美味しく、滋養強壮効果も期待できるそうです。また、赤い色素成分には強い抗酸化作用があり、肌の老化を防ぐ美肌効果もあるそうで、その意味では美男葛と並んで美女葛と呼んでもいいような気もします。
(画像は、赤い雄花、緑の雌花、果実の順に並んでいます。)



