標記研修会に参加しました。
その内容を報告します。
1 日時 令和2年10月12日(月)10:30~16:00
2 場所 室内:大河内保健福祉センター2F会議室
現地:峰山県有林、砥峰高原
3 参加者 18名(受講者15名(内当クラブ3名) 技術センター3名)
4 参加目的
私たちの活動地の桜谷は、豪雨などにより雨水が遊歩道を削り階段も抉れた溝に破壊された状態になっています。
このような状態では来春のエドヒガンの花見は一般の方に見て頂けない状態です。また川西市の天然記念物に指定されている「出会いの妙桜」の根元も深く抉られており、根本的な対策をしないと枯れる可能性があります。
普段から遊歩道に石ころが転がり落ちております。この原因は鹿が下草や低木を食べて雨粒が直接地面に当たり、少しづつ土を削り石が浮き上がって、その石が落ちる現象と判断し、その対策としてウリハダカエデの植樹で何とか抑えることが出来ないかテストを試みているところにその研修会が有ると聞き参加しました。
研修内容
シカに強い特用樹の森づくりについて 10:45~11:15 尾﨑専門技術員
・シカ高密度下でのウリハダ育成、高木性樹種として、治山事業での緑化木(根を張る)、材、樹液の利用について説明。
・皆伐してしまってからでの森林造成はコストがかかり、また、造林未済地のリスクも高い。
・ウリハダは、耐陰性がある。強度間伐後に各種特用樹種を植栽テストしてシカ食害をみた結果
(氷上試験地)について説明。
・植栽樹種は、ウリハダ、サカキ、クロモジ、シキミ、スギとヒノキ(対照木)の6樹種。
・高木層ウリハダ、亜高木層サカキ、低木層クロモジ、シキミを想定
・サカキは植栽直後から激害。ヒノキ、ウリハダは6月から激しく食害。クロモジは中害、スギは微
害、シキミは無害。
・ウリハダ植栽にあたっては、防除が必要(普通の有用広葉樹造林木として)。食害されても萌芽回復力が旺盛なので、簡易防除法で検討もあり。
・特用樹の特徴、活用方法について説明。
参加者の質問など
・神河町でウリハダ苗木を峰山高原にすべて植栽された(神河町前川参事)。
・京都大学芦生研究林(京都府美山町)でもウリハダカエデはよく食害されている。テツカエデは食べないようだが(川西里山クラブ駒井さん)。
ウリハダは、シカがよく食べる樹木であるようだ。多くの種子散布で実生が群落となっている状態で生き残ったものが大きくなっているように感じる。
神河町のウリハダカエデメープルシロップ生産への取り組み
11:15~11:45 神河町 前川特命参事
・町の特産品つくり。2017年度からの取り組み。2~3月に糖分の多い樹液が出る。
・径15mmくらいの穴をあけて、採取。案外、簡単に樹液が出る。
・原液の糖度1.5%。これを1/90に煮て濃縮し糖度65%にする。
・濾過行程で不純物がありなかなか濾過しない問題を「圧」と「熱」を加える装置で改善。
・100円ショップのコーヒーフィルターでアツアツを濾過。
・冷蔵庫に樹液保存は、腐敗したので、冷凍保存する。
・太い木で日当たりのよい場所の木で多く出る傾向がある。
・2020年2月から地域おこし協力隊員が実施。
・樹液採取の都度、1/10に濃縮し冷凍保存。
・食品検査を行い、商品化。50CCのビンに75℃に煮たシロップを入れれば滅菌できる。
・商品化したが、ふるさと納税返礼品にするか、アンテナショップで売るかは検討中。
・神河町は、8割が針葉樹。今後、森林譲与税を活用し、スギ、ヒノキ林の広葉樹林(ウリハダカエデ)混交林化、針葉樹伐採後の樹種転換を考える。
参加者の質問など
・緑税事業で針広混交林にウリハダカエデを導入してもらった。
・細い木はどれくらいから樹液が出る?→径15cmくらいから可能であった。
・ホースを小さめにすると残渣がない。冷え込んだ次の日によく樹液がとれる(川西里山クラブ逸見さん)
・樹液は連続して毎年採取して大丈夫なのか?→3年目だが、毎年同じくらい出る。穴を開けている。木が傷まないように順番に代えて使うなどの配慮が必要かもしれない。
ウリハダカエデの植樹(峰山県有林、砥峰高原)
班別でウリハダカエデの植樹
無防備で植樹、「くわんたい」で保護、割竹曲げわっぱで保護の3通りで植樹
植樹する苗はポット苗(左)と振るい苗(右)です。
無防備の植樹(防御ネットなど何も施さない)
防御設置(割竹曲げわっぱで防風ネットを被せる)
防御設置(くわんたい) シートがぺったんこですが、苗木が成長し枝を張るので大丈夫との事。
植樹修了