2020年9月20日日曜日

2020年9月 今月の樹木 (チドリノキ)

 菅さん提供


チドリノキ(千鳥木 落葉小高木 雌雄異株 ムクロジ科)
                          花期5月 果期910

秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる

 秋が来たと目にははっきりと見えないが、風の音に秋の気配を感じたという古今和歌集にあるこの和歌が、秋が近づいてくると頭に浮かんできます。
 季節の移ろいを風の音で感じ取れるほどの素養がないので、目に見えるさやかな秋を求めて分け入った渓流沿いの山道で、色づき始めた果実を吊り下げた楓の仲間のチドリノキに出会うことができました。
 楓とは言っても葉にはイロハモミジに見られるような切れ込みは全く無く、一見しただけではとても楓の仲間とは思えません。ヤマシバカエデと呼ばれるのも、同じように沢筋に多く見られるというカバノキ科のサワシバに葉が似ていることに由来するものでしょう。
 チドリノキが楓の仲間ということは、果実を見れば納得できます。葉の形は違っても他の楓と同じように二つの子房がくっつき、それぞれが翼を持つ翼果(よくか)と言われるプロペラのような形の果実が数個、一か所から長い果柄の先に連なったような状態で見られます。
 チドリノキの名称は、この様子を千鳥が群れ飛ぶ姿になぞらえたことからそのように呼ばれるようになったというのが通説になっています。図案化された千鳥を和服やのれんに見ることがありますが、見ようによってはそのように見えます。風にそよぐ様子を見ればなおさらそのように見えてきます。
 ここで、楓の翼果はどれも同じような形なのに、この木だけを千鳥になぞらえるのはおかしいのではないかと言う声が聞こえてきそうですが、果実の付き方と翼の角度は楓の種類で若干異なることから、名付けた人の目にはチドリノキの果実の連なり方や、ほぼ直角に開く翼の角度が千鳥の飛ぶ姿に重なって見えたのかもしれません。
 サワシバの葉は互生で付きますが、チドリノキに限らず楓の仲間の葉は対生です。チドリノキの葉の側脈は幾筋も平行して並んでいてよく目立ち、その葉が対になって整然と枝につく姿からはすっきりとした印象を受け、こちらも羽を広げて群れ飛ぶ千鳥のようにも見えてきます。
 芽出しの季節から花の季節にかけては、冬芽を包んでいた赤っぽい鱗片(りんぺん)(よう)と言われるものが長く伸びて新緑の葉と対照的な美しさを見せてくれます。


 秋の黄葉と茶褐色に熟す果実も風情があり、和風の庭に似合いそうな樹木ですが、雌雄異株のため、雄株と雌株の二本の木を取りそろえないと果実が楽しめないのは悩ましいところです。



 


 


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