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今月の樹木 2025年10月

 

菅さん提供


ヤマガシュウ(山何首烏 つる性木本 雌雄異株 サルトリイバラ科)                 

                                                                                      56月 果期1011                           

 石灰岩や地下深部のマントル由来の蛇紋岩地帯に多いと言われるヤマガシュウはどこでも目にできるというわけではないため、目にする機会はそう多くありません。つるの先に黒っぽい果実をつけたヤマガシュウを始めて見た人なら、ヤマブドウかはたまたアオツヅラフジかと迷うことになるかもしれません。でも、茎のトゲを見ればそのいずれでもないことは一目瞭然です。葉はサルトリイバラに似ていますが、トゲがサルトリイバラのように鉤状ではなく真っすぐに伸びていることで区別できます。さらに、サルトリイバラの果実は熟してくると赤くなりヤマガシュウのような黒っぽい色にはなりません。

 シャキシャキした食感で山のアスパラガスとも言われるシオデ、あるいはタチシオデをご存じの山菜に興味を持っている人ならヤマガシュウをこれらと見間違えることはありそうですが、こちらもトゲの有り無しで区別できます。

 ここで取り上げたヤマガシュウについて、そもそも山にあるカシュウとは何ぞやと思い至って調べたところ、中国原産のタデ科のツルドクダミの塊根を何首烏(かしゅう)と言い、これを服用した男性が長生きをして、百歳を過ぎても髪が烏のように黒かったという中国の故事に因んでいて、滋養強壮や不老長寿の妙薬とされていたとのこと。現代ではて育毛効果も確認されているようです。

 花はサルトリイバラに似た薄緑色で、その後の果実は直径が約6mmほど。木の実や草の実を見るとついつい味わってみたくなる悪い癖があり、この果実を目にしたときにも口に入れてみました。味は青臭い感じで食べるには値しませんでしたが、中の固い種子が鮮やかな赤色をしていて意外に感じたことがありました。なお、ヤマガシュウの果実には育毛効果や不老長寿の効果があると言う話は耳にしたことがありませんので食べないに越したことはありません。
















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