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今月の樹木 2025年12月  

 

菅さん提供


ブナ(橅 落葉高木 ブナ科)

花期45月 果期910月                                      

 広葉樹の中で一風変わった葉をつける樹木と言えばブナもその一つでしょうか。樹木の同定には葉がもっとも重要な手掛かりになります。葉の形状や付き方、鋸歯の有無などで見極めることになりますが、鋸歯のある葉では鋸歯の先端は尖った形が普通です。ところがブナでは先端が凹んでいるのです。この特徴がブナを他の樹木と見分けるための重要なポイントになります。 黄金色に輝く黄葉も一見の価値があります。

 雄大で美しい立ち姿から森の女王ともいわれるブナですが、材に水分を多く含み乾燥に時間がかかることで建築用材としては不向きなため利用価値がなく、木では無いとして漢字では木へんに無の字を充てて「橅」としたというのが通説です。日本各地にあったブナ林は、戦後の復興期の木材需要の拡大に伴ってスギやヒノキの植林のために多くが伐採されたといいます。

 そんなブナですが、近年は自然保護活動や生態系維持にかかわる重要樹な木として見直されてきています。青森県の南西部から秋田県の北西部にかけて広がる世界自然遺産に登録された白神山地のブナの原生林は代表的な存在です。

 森林は「緑のダム」と言われます。樹下の柔らかな土壌が雨水を吸収して保水し、その地下水を時間をかけてゆっくりと川に流す機能をダムに例えた言葉で、洪水や土砂の流出を防ぐとともに水源涵養の重要な働きがあり、ブナ林の土壌は特に保水力が高いと言われています。

 降った雨が枝葉を伝って幹に集まる流れが樹幹流です。ブナは樹幹流がよくできる枝葉をしているそうで、ある映像で見た流れは小さなせせらぎを思わせるほどの量でした。樹幹流には樹木が出すミネラルや有機物が含まれ生態系を豊かにしているとのこと。

 実の形がソバに似ていて栗の味がすることからソバグリとも言われるブナのどんぐりはクマの好物だそうですが、豊凶の年がはっきりしていて、不作の年にはクマが餌を求めて人里に降りてくることが知られています。地球温暖化は寒冷地を好むブナの結実に関係していて、人里へのクマの出没とも無縁ではなさそうです。

 森の女王も大木になると威風堂々とした樹形になり、その姿からはは森の大王と呼ぶのが相応しいように感じられます。

 ブナの大木ですが今は葉を落としていますが、雨が降ると葉で雨を集め幹に雨水を集め根元に水を導き水を貯えます。


 ブナの紅葉は、カエデのような真っ赤な葉とはまた違った味わいがあります。鮮やかで眩しいほどのオレンジ色に輝き、自然の美しさをしみじみと感じさせてくれます。
 葉を拡大しました。葉脈(主脈から側脈に分かれて葉の縁に当たりますがその場所が凹の部分に当たっています。)

 ブナの実は通常の団栗と形が違い、そばの実そっくりです。










 

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