菅さん提供
キササゲ (木大角豆 落葉高木 ノウゼンカズラ科)
花期6~7月 果期10~11月
真夏の強い日差しもものともせずに咲き誇る花につる性のノウゼンカズラがあります。南国に咲く
ハイビスカスに似て、じりじりと焼けつくような日差しを跳ね返すような鮮やかな朱色の花は正に夏
の花と言った印象です。
漢字で凌霄花と書くノウゼンカズラの花は夏の季語にもなっていて、日本の固有種と思われがちで
すが、平安時代に中国から渡ってきた花だそうです。
ノウゼンカズラと同じ科に属する植物にキササゲがあります。こちらも中国原産で江戸期より以前
に渡来したと言われ、ノウゼンカズラのつる性とは違い、高木で10m以上にもなる落葉樹です。別
名のカワギリは、湿地を好む性質から河原でよく見られ、大きな葉がキリに似ていることから付けら
れたものと思われます。
キササゲも夏の盛りに咲き、花の径は3cmほどでまとまって多数つけるのでよく目に付きますが
ノウゼンカズラのような鮮やかさではなく黄白色の花で、お世辞にも綺麗な花とは言い難い花です。
日本に渡ってきた理由は花の鑑賞のためではなく、果実を利尿薬に、樹皮を解熱や解毒薬に利用す
る目的があったようです。果実は長さが30cmほどにもなり、形が野菜のササゲ(大角豆)に似て
いることからキササゲ(木大角豆)と呼ばれるようになったと言うことですが、熟す前の青い果実を
かじってみた好奇心旺盛な人の談では、苦渋くてとても食べられたものではないそうです。
熟した果実の鞘を剥いても豆のような丸い種子は現れません。長楕円形の扁平な形で両端に長い毛
が密生した風散布型の種子です。なお、草本のノササゲとは縁もゆかりもない植物です。
薬としては現在でも煎じ薬として販売されていて、尿の出が悪い方や残尿感のある方にお勧めとあ
り、排尿問題が人ごとではない者からみるとキササゲは身近に感じる存在の樹木です。
キササゲには明治時代に渡来したと言われているハナキササゲ、別名オオアメリカキササゲがあり、
こちらの花は白色で内面の紫色の斑紋と黄橙色の紋様のコントラストが美しく、観賞用として植栽さ