菅さん提供
ユクノキ(落葉高木 マメ科)
花期6~8月 果期8~9月
夏なのに木の枝先が雪をかぶったようになることから雪の木と言われていたものが、いつのころからかユクノキになったと言うのがこの樹木です。確かに白い花が咲く時期に遠目から見るとそのような印象を受けます。
マメ科の樹木の多くは蝶が羽を広げたような形の蝶形花を咲かせますが、ユクノキも白い蝶形花を咲かせます。身近に目にする蝶形花には藤の花がありますが、一つの花の長さは2〜2.5cmほどと藤の花よりも大きく、それが枝先の長さ15〜30cmほどもある花軸に円錐状に多くの花を付けるため、遠くからでは雪をかぶったように見えるわけです。葉の形も藤の葉のように、葉の軸に小葉が対になって付き、軸の先端に小葉が一枚付く奇数羽状複葉と言われる形です。
この樹木に始めて出会ったときには花がなく、葉の形状がよく似たイヌエンジュかとも思いましたが少し違和感があり何の樹木か判断が付きかねました。翌年には運よく花を見ることができ、ユクノキと判断できました。さらにその翌年にもう一度花を見ようと同じ所に出かけましたが花を見ることができませんでした。その後も何度か花の時期に出かけてはみたものの、なかなか花には出会えませんでした。後に分かったことは、ユクノキは数年おきにしか咲かないということ。開花周期には規則性はないようで、概ね2~4年おきの開花が一般的なようですが、同じ個体でも変動があるようです。
夏の終わりころになると豆果が熟し始めます。藤の豆果は熟すと捻じれて裂開し種を弾き飛ばして繫殖域を広げますが、ユクノキは熟しても裂開しないそうです。繁殖はリスやネズミなどが行う貯食行動に頼っているのでしょうか。
ユクノキは別名ではミヤマフジキ(深山藤木)。別名ではフジキによく似ているがより深い山に生育すると言うことになりますが、実際には里山のような所で見ることができます。ただ、どこでも見られると言うことはなく、全国的にも稀にしか見られない稀少種となっているようで、開花頻度との関係があるのかもしれません。
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