菅さん提供
アオギリ (青桐 落葉高木 アオイ科)
花期7月 果期10月
アオギリの名はキリのような大きな葉を持ち、樹皮が緑色をしていることで名づけられたもので、
幹の緑が美しいことから公園樹にも利用され、さわやかな印象もあることから夏の季語にもなって
いるようです。
樹皮の緑色は葉緑素によるもので幹でも光合成ができると言われており、そのためか成長が速く、
数年で仰ぎ見るほどの高さになります。
人の顔よりも大きくなる葉に比べると花の径は1cmほどと小さく目立ちませんが、多くが寄り
集まって付くので蕾の時期から開花にかけては樹木の全体が黄色く覆われたように見えます。
雌雄同種の樹木ですが、花の一つひとつは雌雄に分かれた雌雄異花という形態を持ちます。どち
らの花にも花弁はなく、一見花弁のように見えるものは萼だそうです。
雌花にある子房は雌しべの基部に付くのが一般的ですが、この花では雌しべの中間あたりに付き、
受粉後まもなくにはニンニクの玉のような形になります。成長過程の初期には指をすぼめて指先を
くっつけたような形になり、さらに成長すると先端が分離して大きく広がり、青唐辛子のように見
える袋果となります。この中には6~7mmの種子が数個入っていて、種子の成熟前に裂開するよ
うです。
成熟前に裂開する理由はよくわかりませんが、袋果も緑色で葉脈のようなものもあるので光合成
ができ、裂開して表面積を広げて光合成の効率を上げ、種子の成長を早めるためではないかと考え
てみましたが素人考えの域を出ません。
裂開したものはくぼみのある小舟のような形で縁には種子がくっついています。種子は熟すと茶
色くなり、小舟に乗ったような状態で風で散布されるようです。
アオイ科の植物ではカカオが有名ですが、アオギリの実も食べられるそうです。試しに生のまま
食べてみるとカカオの味がするようなしないような…。食べるには小さすぎて皮を剥く手間を考え
ると、好んで食べようというほどのものではありません。