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2020年5月11日月曜日

今月の樹木(2020年5月) タニウツギ

菅さん提供


タニウツギ(谷空木 落葉低木 スイカズラ科)

                           花期56月 果期10
 日本海側に多いというタニウツギは、兵庫県南部の太平洋側でも普通に見られる樹木です。
花の季節によく利用する妙見山へと続く山道でもいたる所で目にすることができ、谷に咲く空木(うつぎ)と名付けられてはいても谷に限らず、日当たりの良い山の斜面などでも美しい花を咲かせています。

 花の径は3㎝位で、花弁の色は木によって桜色の淡いものから濃いものまで見られ、細長い枝が枝垂れるほどにいくつも花束のようにまとまって咲くので遠くからでもそれと分かります。

 花言葉は「豊麗(豊かで美しい)」「豊穣」で、これらは枝いっぱいに美しい花を付けることから来たものでしょう。また、田植えの頃に花が見られることから田植え花とか早乙女花と呼ぶ地方もあるようで、農耕民族の日本人には古くから生活に溶け込んだ花と言えそうです。
ところが意外にも、タニウツギの花を嫌う人がいるのも事実。

 晴れやかな衣装を身にまとった早乙女の姿に、この(あで)やかな花を重ね合わせて早乙女花と呼んでみたいと思う人であれば、知らないほうが良かったと思われそうな呼び名が、死人花、葬式花、火事花のような別名です。美しい花には似つかわしくない呼び名ですが、枝を葬儀関係の時に使ったとか、家に持ち込むと火事に遭うという言い伝えなどからそのように呼ば
れて忌み嫌われているようです。

 タニウツギが分布していない九州の田舎では、タニウツギの花に似た花を亡くなった母は「かんじん花」と呼んで嫌っていました。分布から見てハコネウツギのように白い花弁が淡い桃色を経て紅色に変化するツクシヤブウツギだったと思われますが、なぜそのように呼んでいたのか、九州の片田舎だけでそう呼ばれていたのかは調べた限りでは手がかりとなるも
のは得られませんでした。ここで言うかんじんとは物乞いをする人のことで、仏教の勧進に由来する言葉が転化したものと言われています。
 似た花が同じように嫌われていたことは興味深い話ですが、ともあれ、忌み嫌われることもある花と知ってはいても、野山で美しいタニウツギの花に出会ったときにはそんなことは頭の中にはつゆほどもなく、美しいものは美しいと率直に花を愛でている自分の姿がいつもそこにはあります。
 バナナを思わせる形の蒴果(さくか)と呼ばれる果実は、成熟すると赤褐色を帯び、種がこぼれた後も色褪せた状態で翌年の春先まで枝先に永く残っているのが見られます。










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