菅さん提供
ソヨゴ (冬青 常緑小高木 雌雄異株 モチノキ科)
花期6月 果期10~12月
冬青と書いてソヨゴ。名の起こりは冬でも青々とした葉を茂らせることから。また、硬い革質の葉が、
風が吹くとカシャカシャと音を立てることからそのように呼ばれているようです。
そう言われても、常緑樹や風にそよいで音を鳴らす樹木はほかにも色々ある中で、この樹木に限って
冬青の字を充てソヨゴとしたのには釈然としないものがあります。
樹名は樹形や樹皮の色などの見た目で名づけられたものもありますが、材や果実などが加工されて昔
の生活には欠かせないものとして身近なところで使われて来たことで名づけられたものも多くあります。
カマツカは鎌の柄に使われたことから、器具や細工物に使われたシラキは材が白いことから、明り取り
の油を採ったことからアブラチャン等々。
サクランボを小さくしたような形のソヨゴの実は、秋に入ると緑から鮮やかな赤に移ろい、いかにも
美味しそうで鳥にすぐに食べられてしまいそうですが、意外にも年が明けてもよく残っています。
鳥たちには不人気でも、緑の葉に縁起がよいとされる赤い色の実を付けるソヨゴは真冬でも手に入る
ことから重宝され、正月飾りに使われている所もあるようです。そのような目出度い樹木で身近な存在
だったことから冬青の字が充てられたと考えることもできそうです。特徴的な大きく波打つ葉も風がな
いときでもそよいでいるかのように見えます。
フクラシ、フクラモチ、フクラシバなどのソヨゴの地方名は、葉に熱が加わると中の水分が水蒸気と
なって膨張し、葉が膨らむことから名づけられたものと思われます。過熱が進むと表層の固い部分が裂
けて破裂するときにパチンと音がすることから節分に葉を火にくべ、パチパチはじけさせて邪気を払う
風習も一部地域にあるとのこと。
花の径は4mmほどと小さいものの、蜜の産出は豊富なようでソヨゴ単体の蜂蜜も市販されていて、
その味は爽快で花の香りも楽しめるとか。
初夏の花の季節には、葉の間から長く突き出た花から葉をそよがせた薫風に載り、花と蜜の香りも漂
ってきそうです。
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