菅さん提供
スイカズラ(吸葛 常緑つる性木本 スイカズラ科)
花期5~6月 果期10~12月
冬の厳しい寒さは動物にとっても植物にとってもつらいもの。動くことのできない植物は葉を落としたり、宿根草のように冬季には地上部を枯らして地中で翌春に芽を出す備えをしたりと寒さをやり過ごす方策は様々です。身近なところでは冬場に欠かせない白菜などがとる戦略があります。寒さに当たると冬野菜は甘くなって美味しくなるといわれますが、これは細胞内に糖分を蓄えるためで、これにより組織の凍結を防いで
いるということが知られています。
忍冬はスイカズラの別名で、冬季でも葉を付けていることから名づけられたものといわれています。常緑性の植物はつる植物に限らず色々ありますが、スイカズラをとりわけ忍冬というのは、半常緑ともいわれるように多くの葉が落葉し、枝先にわずかに残った葉が裏側に丸まって寒さに耐え忍んでいるかのように見えることから名づけられたものでしょう。丸まった葉は夏場の葉と比べて厚みがあることから、葉の表側の細胞内に糖分が多く蓄えられ、その結果表側が伸びて丸くなるのではないかと考えますが実際のところは門外漢には分かりません。新芽や若葉は山菜として利用されているので、冬場に枝先の葉を鍋ものにでもして味わってみればこの推測が的外れかどうか分かるかもしれません。
葉は乾燥させてお茶にするほか、花や蕾も含めて薬用や浴用としての利用法もあるようです。さらに蒸留酒に付け込んだ忍冬酒には強壮効果があるとか。寒い冬にはスイカズラの薬用風呂と忍冬酒がうってつけのようですね。
初夏に咲く花は二つが対で咲き、咲き始めは白色で数日後には黄色に変化することからスイカズラには金銀花という別名もあります。昔の子供たちがこの花を摘み取って蜜を吸って遊んだことからスイカズラ(吸葛)の名になったともいわれています。
花の香りはジャスミンのようだとか官能的とも表現される甘い香りで香水にもなって市販されています。
秋から冬にかけて熟す黒い実は可食かどうか、また薬効の有無に関しては情報がほとんどありませんので口にしないほうが無難です。
同じスイカズラ科に、白から黄色に変化するスイカズラに似た花をつけ、金銀花と混同してしまいそうな名を持つ金銀木があります。こちらは美味しそうな赤い実を付けますが有毒植物として知られていて口にするのは禁物です。
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