菅さん提供
カナクギノキ (鉄釘の木 落葉高木 雌雄異株 クスノキ科)
花期4月 果期10月
クスノキ科の樹木にはクロモジやダンコウバイ、アブラチャン、ヤマコウバシなどの低木とクスノキ、カゴノキ、ヤブニッケイ、タブノキなどの高木とに大きく分けられます。
カナクギノキは大きなものでは樹高15mほどにもなる高木です。他のクスノキ科の高木の樹木はどれも常緑ですがカナクギノキは高木の中では唯一の落葉樹で秋には黄葉し、美しい黄葉で知られるクロモジにも劣らない美しさがあります。
細工物などに使われる釘には木製の木釘が使われることがあります。カナクギノキと言うからには木釘以上の固い木と思われそうですが名前に反してそこそこの固さはあっても意外ともろいようで、材の利用としては薪のほかには細工物として使われることはあっても木釘としては使われないようです。
それではなぜカナクギノキと言われるようになったのかを紐解いてみました。若い木の樹皮は淡褐色で滑らかですが樹齢を重ねて幹が太くなってくると丸い小さないぼ状の皮目が目立ち始め、さらに年数が経つと部分的に剥がれ落ちてきます。剥がれてまだら模様になったところが鹿の体毛の斑点に似たいわゆる鹿の子模様になることで鹿の子木(かのこぎ)と言われていたものがカナクギに転化していったと言う説が有力なようです。
樹木に詳しい人からはクスノキ科にはカノコギがあるではないかと言う声が聞こえてきそうですが、同じクスノキ科と言うことでどこかでカゴノキとカナクギノキが混同されてこのような説と結びついたのではないかと思います。鹿の子木の説は怪しく、どうひいき目に見てもカゴノキのいかにも鹿の子と呼ぶにふさわしい鹿の子模様とカナクギノキの樹皮の模様とは比べられる比ではありません
香りのよいことで知られるクロモジと同じクロモジ属とあって、枝や葉からはアロマオイルが作られるそうです。薪にして燃やすと甘い香りが立ち上るとも。
花は枝先に集まって付くのでそれと分かりますが、花の一つひとつは小さいため蕾の状態なのか開花しているのかよく見ないと分かりません。花を見ていた人がまだ蕾だといったものをよく見てみるとすでに開花しているものでした。クスノキ科の花はどれも小さいのが特徴の一つです。
秋に真っ赤に熟す果実は花と違ってよく目立ちます。クスノキ科特有の樟脳のような香りのあるこの果実は人の口には合いませんが冬鳥には人気のようです。
カナクギノキ(雌花)
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