菅さん提供
アカマツ (赤松 常緑高木 マツ科)
花期4~5月 果期10月
お正月に縁のある草木にはマンリョウ、センリョウ、ナンテン、ウメ、ウラジロ、オモトなどと
色々ある中でその代表格と言えば松になるのではないでしょうか。めでたいものとして祝い事の引
き出物の飾りなどに使われる松竹梅は飲食店のメニューのランクに使われることがありますが、そ
の中では松が最上級とされているのはご存じのとおりです。
松は厳寒にも青々とした緑を保っていることで古くから長寿の象徴や神聖な木として扱われてき
たことから、お正月に年神さまを家にお迎えするための依り代として門松を立てるならわしが始ま
ったとも言われています。
長寿と夫婦円満の縁起物で結納の品として扱われる熊手を持ったおじいさんと箒をもったおばあ
さんの高砂人形も松とかかわりがあって、おじいさんとおばあさんは松の木の精ということになっ
ています。
泰然とそびえる松の姿は日本人の美意識に通じるものを感じます。日本庭園では一本の松がある
だけで庭全体が引き立ちます。能や狂言の舞台の背景にも描かれ、青々とした松と白い砂の綾なす
美しい海岸の風景を白砂青松という言葉で表現したのも日本人の精神性の表れのように思います。
見た目や縁起物としてだけではなく実用的な面としては、内陸部に生える幹の赤っぽいアカマツ
の根元に生える高価なマツタケがすぐに思い浮かびますが、海岸沿いに生える幹が黒っぽいクロマ
ツ近くの地中で多くが育つトリュフに似たショウロ(松露)もまた高級品として知られています。
話変わってとある総合病院の皮膚科の前を通りかかったときのこと、松脂アレルギーに注意なる
張り紙が目に留まりました。バイオリン奏者は弓毛と弦の摩擦係数を高めて音を大きくするために
ロジンという松脂から作った樹脂を弓毛に塗るそうですが、人によってはアレルギー反応があると
のこと。野球のピッチャーが滑り止めに指に付ける白い粉もロジンと知り、そこで松脂の意外な使
い方を知った次第。
松炭は火力が強く日本刀の鍛錬には欠かせない炭とされ、書道の墨は松を燃やした煤から作った
ものが最高級と言います。
手軽で身近な松の利用法としては松葉サイダーがあります。梅雨明け頃に松葉を採取して瓶に詰
め、砂糖水を注いで日当たりの良い所に数日置くだけ。爽やかな微炭酸の松林のような香りもさる
ことながら、プクプク発生する泡を見ているだけでも楽しい松の活用法です。
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