菅さん提供
エゴノキ(落葉小高木 エゴノキ科)
花期5~6月 果期8~9月
5月の心地よい風を感じながらの山歩きで、ふと見上げるとエゴノキの純白の花が鈴なりになって
いる光景に出会うことがあります。エゴノキの花は下から見上げて鑑賞するのがよいと聞いたことが
ありますが、まさにその通りで頭上一面に咲く白い花は今にも降ってきそうな感じを受けます。
スズランに似た白い花を咲かせるスノードロップという草花がありますが、これがスノードロップ
ツリーとなるとエゴノキの英名で、外国の人が初めてエゴノキの花を見たときにスノードロップと重
ね合わせてそのように呼んだのでしょう。
もう一つの英名にジャパニーズスノーベルがあります。吊り下がるように咲く白い花にはぴったり
のなんともロマンチックな名前ですね。
花の後にはかわいい果実が吊り下がります。果実にはえぐ味があり(えごい)、これからエゴノキ
の名前になったといわれています。
えぐ味の成分は有毒で、昔は若い果実をすりつぶして川に流し、麻痺して浮いてきた魚を捕る毒流
し漁を行っていたそうです。
花の時期に葉を観察すると葉先がクルクルと巻かれた状態になっているのが見られます。この仕業
の犯人は甲虫のエゴツルクビオトシブミで、巻かれた葉の中にはオトシブミの卵が入っていて、孵化
した幼虫は巻かれた葉を食べて成長するそうです。オトシブミの中には巻いた葉を切り落とすタイプ
もいますが、エゴツルクビオトシブミは切り落とさないタイプのようです。
果実が大きくなるころにバナナの房を小さくしたようなものが枝先についていることに気づくこと
があります。猫の足にも似ていることからエゴの猫足と言われ、こちらはエゴノネコアシアブラムシ
の仕業で、冬芽に産み付けられたアブラムシの幼虫が芽に刺激を与えることで形成される虫こぶです。
つまり、バナナの房を割るとアブラムシがうじゃうじゃと詰まっているというわけで、可愛いネーミ
ングとは裏腹にちょっとおぞましい光景を目にすることになります。夏にはアブラムシは翅が生えて
飛び立っていますので猫足が目立つ頃にはもぬけの殻になっています。
エゴノキは清楚で清涼感のある花をつけますが、その裏には色々興味深い物事が隠されている樹木
と言えそうです。
エゴノキの花
エゴの猫足(虫こぶ)
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