菅さん提供
メギ(目木 落葉小低木 メギ科)
花期3~4月 果期10~11月
冬の山歩きで目にする木の実には赤いものが多いようです。アオキ、クロガネモチ、マンリョウ、ソヨゴ、ナナミノキ、カマツカ、モチノキ、アオハダ、カナメモチ、ウメモドキ、マユミ、コマユミなどの果実はどれも赤くて美味しそうに見えます。これらの果実の中のいくつかは口に入れてみたことがありますが、美味しいと感じたものは一つもありません。美味しくないどころか、マユミやコマユミの果実には毒があるといわれています。
木の実の多くは冬の間の鳥たちの貴重な食糧となり、木の方は鳥に種子を散布してもらう持ちつ持たれつの関係になっています。鳥に実を食べてもらえるよう目立つ赤い色の実をつけると思われますが、その割には鳥に食べられずにいつまでも残っているものも見られます。
メギもその一つで、秋に実った果実は年を越しても枝先に残っていることがあります。枝には鋭い棘があって小鳥も止まれそうにないことから付けられた別名はコトリトマラズ。メギにしてみれば小鳥は種を運んでもらう大切なお客さんで、棘は小鳥を寄せ付けないためにあるのではないよと言いたいところでしょう。実際にはツグミ、オナガ、ヒヨドリ、ムクドリなどが訪れるようです。
毒を持ったり食べても美味しくない実をつけるとやってきた鳥にあまり食べてもらえず、植物にとっては無意味なように思えますがどのような利点があるのでしょう。
鳥に一度にたくさんの実を食べられてしまっては糞とともに落とされる種子も一か所に留まり拡散されません。落とされた所の条件が悪ければ発芽することさえできないことも考えられます。色々の種類の鳥が入れ替わり立ち代わり少しだけ啄んであちこち広範囲に種子をばらまいてくれれば条件の良い所で自分の仲間を増やしていくことができます。
毒のある実も不味い実も鳥が食べるところを見ると、毒は鳥に大きなダメージを与えない程度にしたり、不味い実もほかに食べるものがないので仕方なく食べる程度の不味さにしたりして、一度に大量に食べられないよう微妙なさじ加減をしているように思えます。
メギ(目木)の名は枝や幹の樹皮を煎じた液で洗眼すると、目の病に効くことからと言われています 。根元から細い枝が株立ち状に密生し枝先がアーチ状に枝垂れるような樹形で、春に下向きの黄色の小さな花が枝に連なって咲き、秋に長さ8mmほどの実がついて果実酒として利用できます。セイヨウメギまたはバーベリーと言われる品種のものは海外ではよく食べられ、酸っぱい味わいがあるそうです。
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