菅さん提供
スダジイ(すだ椎 常緑高木 ブナ科)
花期5~6月 果期10月
どんぐりのイメージとしては丸くてコロコロした形を思い浮かべますが、ブナ科の実を総称したものがどんぐりで、国内ではその種類は20種ほどにもなると言われていて、その中には丸くないクリやブナの実も含まれます。丸くてもトチノキの実は厳密にはどんぐりではないことになります。
大人でも小さい子供のときにどんぐりを拾い集めるた記憶のある人も多いと思いますが、子供が丸いコロコロしたものに興味を示すのは成長した証の現れだそうです。
スダジイはブナやクヌギなどの落葉樹とは異なり常緑です。ヒマラヤの南麓から東南アジア、中国を経て西日本に至る常緑広葉樹が優先する帯状の植物分布は照葉樹林帯と呼ばれ、国内ではスダジイは照葉樹林帯の主要構成樹種の一つになっていて、福島及び新潟以西まで見られるようです。
スダジイのどんぐりはクヌギ、アカガシ、マテバシイと同じく花が咲いた翌年の秋に実が成熟するいわゆる2年成で、殻斗の形はお椀型ではなく表側はごつごつしていてどんぐり全体を覆っています。どんぐりが成熟してくると次第にバナナの皮が剥けるように三裂してどんぐりが顔を出します。
余談ですが殻斗を多くの人は帽子と呼んでいます。どんぐりの殻斗と接する部分は一般にはへそ、または尻と呼ばれます。そこで殻斗の呼称を帽子ではなくパンツと呼んでほしいという人がいるようです。理屈から言えばそうですよね。
スダジイのどんぐりは渋みやアクが少なくクリと同じように生でも食べられ、乾煎り(からいり)すれば殻も剥き易く香ばしくなり、味はクリをあっさり目にした感じですが小さいのがたまにキズです。
縄文時代には主要食糧としてクリが栽培されていたことが遺跡の調査で明らかにされていますが、スダジイをはじめ同じように生食できるツブラジイ、マテバシイなども栽培されていたのではないかと想像が膨らみます。どんぐりを見ると拾いたくなるのは縄文人の血が連綿と受け継がれている証なのかもしれませんね。
初夏の陽気が感じられるころ、里山の緑の中に黄緑色のもこもことした景観が現れます。スダジイの多く枝分かれした先に細長い穂状に寄り集まった小さな雄花の集団がそのような形を造ります。雌花は雄花の穂状花序の上部の枝に付きますが小さくて目立ちません。
スダジイの実
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