菅さん提供
ユズリハ(譲葉 落葉高木 ユズリハ科)
花 花期5~6月 果期11~12月
ユズリハの北限は東北南部とされ、それより南の地域では広く沖縄まで正月に飾る縁起木とされています。縁起木にはマンリョウをはじめとして緑の葉に対照的な赤い果実をつけるものが多く使われます。ユズリハも常緑で真冬に青々とした葉をつけ果実も冬に熟します。ただ、果実の色は黒褐色で縁起の良い色とはほど遠いものですが、葉には赤く長い葉柄があり、葉表の艶のある緑と相まって美しいコントラストを見せてくれます。九州の田舎では正月にはその葉を採ってきて鏡餅の飾りに用いていました。地方によってはしめ縄の飾りにするところもあるようです。
正月飾りに使われるのには、葉の美しさだけによるものではありません。常緑広葉樹の多くは成長した葉は春から夏にかけて新しい葉と入れ替わるように落葉します。ユズリハも例外ではありません。新しい葉に次の世代を譲るのはユズリハに限らないわけですが、なぜユズリハだけがユズリハと呼ばれるようになったのでしょう。
ユズリハの葉は互生であっても枝先に集中してつくので輪生しているように見えます。春先に枝の頂点から新しい葉が出て成長してくると、その下側にある古い葉は垂れ下がってきます。その様子がいかにも古い葉が新しい葉に代を譲るように見え、親から子へ家が代々続いて繁栄する象徴としてユズリハの名になったというのが通説です。
雌雄異株で雌株には大きさや色合いがブルーベリーにそっくりな果実がつきます。この果実を含めて葉や樹皮は有毒で、かつては殺虫剤として用いたり、少量を薬用としていたようです。縁起木と言えども見た目に騙されて果実を食すると縁起でもないことにもなりますので、口に入れるのはご法度です。
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