提供:菅さん
ウリハダカエデ(瓜肌楓 落葉高木 雌雄異株 ムクロジ科)
花期5月 果期9~10月
樹木の肌の色は似たものが多い中で、特徴的な色合いをもつものがあります。その色から樹名になったもの
として、シラカンバ(白樺)やアカマツ(赤松)クロマツ(黒松)は代表的な例と言って良いでしょう。
樹肌の色が名前にはなっていなくても赤っぽいシャシャンボやリョウブ、黒っぽい樫の仲間は林の中でよく見かけられる樹木です。林内の薄暗い所では日陰を好む、緑の肌で低木のアオキ(青木)も目にすることができます。
若い枝が緑色の樹木はさほど珍しくありませんが、高木で樹幹まで緑色の樹木となると数えるほどしかなく、
その一つがウリハダカエデです。名の由来は、緑色に黒っぽい縦縞模様のある樹肌を、同じような色と模様の
ある瓜に例えたものです。
瓜に因んだ樹名の楓にはもう一つ、その名もずばりウリカエデ。樹肌の色と模様もウリハダカエデにそっく
りで、まさに瓜二つ。一日の山歩きで出会うこともあるこの二つは葉を見比べれば違いは一目瞭然ですが、と
もあれ見た目と名前がよく似ていてややこしいことこの上ありません。ただ、この特徴はどちらの楓も樹齢を
重ねると消えていき、他の樹木と区別が難しくなってきます。
日当たりの良い環境にあるウリハダカエデは、秋には鮮やかに紅葉して見事なことから庭木や公園樹として
植栽されることもあるようですが、葉は手のひら大かそれ以上で厚みもあるので、イロハモミジの繊細な紅葉
に比べると大味な感じは否めません。
観賞用だけではなく樹皮が丈夫なため、編んで籠にする実用的な用途もあるようです。樹液を厳寒期から早
春にかけて採取し煮詰めれば、甘いメイプルシロップになることでも知られています。
つい最近までウリハダカエデは鹿の不嗜好性植物と言われてきましたが、鹿の異常繁殖で採食植物の不足に
より食害されるようになってきました。鹿の食害は近年の自然災害増大の大きな要因で、所属団体の活動地で
も多くの植物が食い尽くされて裸地が広範囲に広がり、雨による土壌浸食で天然記念物のエドヒガンが危機に
さらされています。
このような状況のもと、団体ではウリハダカエデの多数の細根が土壌流出を抑える効果があることに着目し、
その効果を見極めるため幼木を植栽して実証試験を行っています。
首尾よくいけば紅葉も楽しめ、美味しいメイプルシロップも味わえると、数十年先のことながら今から皮算
用をしているところです。
0 件のコメント:
コメントを投稿