菅さん提供
ヒメヤシャブシ (姫夜叉五倍子 落葉小高木 カバノキ科)
花期3~4月 果期10~11月
よく似た仲間で高木にもなるヤシャブシの雌花序が立ち上がるのに対してこちらは下垂します。葉が大きめのオオバヤシャブシはヒメヤシャブシとは対照的に雌花序が枝の上方に付いて斜上し、雄花序は雌花序の下方に下垂するのでヒメヤシャブシとの区別は容易です。
果期には楕円形の松ぼっくりに似た長さ1.5cm~2㎝ほどの球果が複数個まとまって吊り下がり、翼の付いた2~3mmほどの種子が飛散した後でも長く残り、翌年の花の季節にも見ることができます。
ヤシャブシの名は球果の表面のごつごつした様子を夜叉に見立て、煮出して採った液をヌルデから採れる五倍子の代用としてお歯黒に使ったということから夜叉五倍子となったとか。
ヒメヤシャブシの樹肌はヤシャブシやオオバヤシャブシが成長してくると樹皮が鱗状にはがれてくるのに対してなめらかで、葉や雄花序も細身で枝もしなやか。そのため木姿からは荒ぶる夜叉のイメージとは違って華奢な感じを受けます。そのようなところから姫と名付けられたものでしょう。
ヤシャブシの仲間は裸地や崩壊した崖などの痩せ地でも旺盛に生育できる能力を持った樹木です。その秘密は根にできる根粒に共生する放線菌の力で空中の窒素を取り込むことによって成長が促進されることによるものです。
ハゲシバリは漢字では「禿縛り」で、貧栄養の禿山の緑化に適していることから治山目的で植栽されてきた歴史があります。
かわいい球果が長い期間見られ、大木にもならないので庭木に向いているように思えますが、他のカバノキ科の樹木同様に花粉症を誘発することが知られていますので、庭木としての利用は避けたほうが良さそうです。
花
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