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2021年3月13日土曜日

今月の樹木 2021年3月 ヒメヤシャブシ

菅さん提供


 ヒメヤシャブシ (姫夜叉五倍子 落葉小高木 カバノキ科) 

                                  花期34月 果期1011月                              

 3月の半ばを過ぎると暖かさに目覚めた草木が花を開き始めてきます。ハゲシバリとも言われるヒメヤシャブシもその一つです。花と言っても風媒花なので鮮やかな花びらもなければ香りもありませんが、枝の先々に長さ4~6㎝ほどの黄褐色の雄花が多数集まった雄花序が垂れ下がっているのでよく目につきます。雌花序は雄花序の下方につき、雄花序と比べるとかなり小さいうえに淡緑色で目立ません。

 よく似た仲間で高木にもなるヤシャブシの雌花序が立ち上がるのに対してこちらは下垂します。葉が大きめのオオバヤシャブシはヒメヤシャブシとは対照的に雌花序が枝の上方に付いて斜上し、雄花序は雌花序の下方に下垂するのでヒメヤシャブシとの区別は容易です。
 果期には楕円形の松ぼっくりに似た長さ1.5cm~2㎝ほどの球果が複数個まとまって吊り下がり、翼の付いた2~3mmほどの種子が飛散した後でも長く残り、翌年の花の季節にも見ることができます。

 ヤシャブシの名は球果の表面のごつごつした様子を夜叉に見立て、煮出して採った液をヌルデから採れる五倍子(ふし)の代用としてお歯黒に使ったということから夜叉五倍子となったとか。
 ヒメヤシャブシの樹肌はヤシャブシやオオバヤシャブシが成長してくると樹皮が鱗状にはがれてくるのに対してなめらかで、葉や雄花序も細身で枝もしなやか。そのため木姿からは荒ぶる夜叉のイメージとは違って華奢(きゃしゃ)な感じを受けます。そのようなところから姫と名付けられたものでしょう。

 ヤシャブシの仲間は裸地や崩壊した崖などの痩せ地でも旺盛に生育できる能力を持った樹木です。その秘密は根にできる根粒に共生する放線菌の力で空中の窒素を取り込むことによって成長が促進されることによるものです。
 ハゲシバリは漢字では「禿縛り」で、貧栄養の禿山の緑化に適していることから治山目的で植栽されてきた歴史があります。
 かわいい球果が長い期間見られ、大木にもならないので庭木に向いているように思えますが、他のカバノキ科の樹木同様に花粉症を誘発することが知られていますので、庭木としての利用は避けたほうが良さそうです。


球果のアップ


枝先に残る球果





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