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2021年12月15日水曜日

2021年12月 今月の樹木 

 菅さん提供


ムクノキ (アサ科 椋の木 落葉高木) 

                   花期5月 果期1112

師走に入って間もなくのある日のこと、川沿いにあるムクノキにたくさんの実が生っているのが目に入りました。
実の大きさは直径1cmほどで食べることができます。目にしたものは十分に熟して表皮にシワが目立ちますが、
これくらいになったときが食べごろです。
 大きさの割に果肉が薄く、固い種子があるので食べごたえはありませんが、その味は干し柿のような感じで甘く美味です。干し柿以外にプルーンのようだとか、香りをレーズンに例える人もいるとか。
 ムクノキの名の由来の一つには、この実をムクドリが好んで食べるところから来ているという説もありますが、この甘い実をほかの鳥たちが放っておくはずがありません。ハトやカラスの仲間、ヒヨドリ、ツグミなど比較的大型の鳥をはじめ、小柄なメジロも辺りも食べにやってくるようです。


 別名でムクエノキと言われるように、同属のエノキと葉がよく似ていて、葉の葉脈の違いで両者を見分けることもできますが、葉を触ってみると違いが分かることがあります。ザラザラ感が強ければムクノキと言うことになりますが、若い葉の場合は区別がしにくく決定打にはなりません。老木になるとムクノキはエノキと異なり、樹皮が鱗片状にはがれてくるので見分けることができます。この樹皮が剥けることからムクノキと名が付けられたとも言われているようです。
 秋になれば実で区別することもできます。エノキは緑や黄色に混じって赤っぽい実が見られるようになりますが、
ムクノキの実はくすんだ黒紫色になります。実の大きさもエノキは直径で6mmほどしかありません。
 国蝶のオオムラサキはエノキを食草としていますが、よく似たムクノキの葉を与えてもほとんど食べないそうです。葉に卵を産み付けるときにエノキとムクノキをどうやって見分けているのでしょう。それこそ蝶能力かもしれませんね。

 エノキは山中でも目にしますが、ムクノキは河川敷や谷筋に多く見られることから適度な湿気のある所を好む樹木のようです。
 ムクノキと言えば小学校の国語の教科書に載っていた童話で、「大造じいさんとガン」の作者の椋鳩十の名が頭に浮かびます。童話の中では大造じいさんがタニシを使ってガンをおびき寄せるシーンがありますが、ガンの仲間でも雑食性の水鳥の中には、木から落ちたムクノキの実を食するものがいることが知られています。椋鳩十のペンネームもムクノキと関係があるのは想像に難くありません。
 ムクノキの葉がざらつくのは、表面がガラス質で覆われていることによるものだそうで、葉を乾燥させたものは研磨剤として樺細工の樹皮を磨いたり漆器の木地を磨くのに使われるそうです。
 花は枝先の葉の脇に雌花が1~2個つき、その下部の枝に雄花が数十個まとまってつきます。どちらも小さい花で、特に雌花は注意して探さないと目に留まりません。

(ムクノキ 実)

(ムクノキ 雌雄同種雌雄異花



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