菅さん提供
キヅタ (木蔦 常緑つる性木本 ウコギ科)
花期9~11月 果期2~3月
すっかり葉を落とした冬枯れの林の中で、木の幹に青々とした葉がまとわりついているキヅタを見かける
ことがあります。冬に葉を落とすタイプでナツヅタとも言われるツタに対してキヅタはフユヅタとも言われ
ます。
一般的にはヘデラもしくはアイビーと言われる公園や緑地によく見られるつる植物は、和名はセイヨウキ
ヅタでキヅタと同科同属です。
触ると柔らかい感触のツタの葉に比べると、革質でいかにも丈夫そうな葉を持つキヅタは日陰でもよく育
つことから、甲子園球場外壁の緑は日当たりの良い所はツタを使い、日当たりの悪い所にはキヅタが使われ
ているということです。
物に取り付いて這い上がる姿は同じでも、ツタが葉と対生する形で出る短い巻きひげの先端の吸盤状とな
った部分で物に張り付くのに対して、キヅタは付着根と言われる無数の根を幹から伸ばして物に取り付きま
す。
根本的な違いはツタがブドウ科でキヅタはウコギ科という点にあります。その違いは果実のつき方に特徴
がよく表れていて、ツタはブドウの房のような果実をつけ、キヅタはウコギ科に見られる一か所から枝分か
れして放射状になった柄の先に果実をつけます。
蓋をした急須を思わせるキヅタの果実は、子供の時にはコマに見立てて手のひらの上で回して遊んだもの
でした。幼かった時分にはうまく回せなかったものが、大人になってから手にして上手く回ったときはなん
だかうれしくなりました。蓋のつまみに当たる部分は花柱の名残だとか。
ウコギ科には山菜として食べられるものが多くありますが、チョコレートが載ったようにも見えるキヅタ
の果実を割ると甘酸っぱい香りがするそうです。果たして食べられるのかどうか気になりますね。
花期には直径1㎝ほどの黄緑色の花が幾つか集まって咲く様子が見られます。
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