提供 菅さん
チャノキ(茶ノ木 常緑低木 ツバキ科)
花期10~11月 果期 翌年10月
目には青葉 山ほととぎす 初鰹
冬枯れで寒々とした山の木々が一斉に芽吹いて、明るい感じになる様子を俳句の季語では山笑うと表現し、今の暦では3月から4月のことを言うようです。
冒頭の句は江戸時代初期の俳人で山口素堂という人が詠んだ句とされるもので、青葉を詠んでいますが時期は5月に入ってからとされています。
初物を食べると命が75日延びると言って、粋な江戸っ子が女房を質に入れてでも食えと言って競って食べたものが初鰹だそうで、先の句では青葉、山ほととぎす、初鰹と初夏の季語が3つ並んで小気味よさが伝わってきますが、初鰹に重きを置いて作られた句のように思えるのは食い意地が張っているからでしょうか。
お茶の新芽は桜が開花する同じ時期に芽吹き始め、約ひと月余りで摘み取れるまでに成長し、5月に入ってすぐが八十八夜で、この日に摘み採られるお茶は不老長寿の縁起物として重宝され、その新茶を飲むと一年を災いなく過ごせると言われています。
奈良・平安時代に中国から渡来したお茶は貴重品で身分の高い人の飲み物だったようですが、江戸時代には庶民にも飲まれるようになったと言われ、江戸っ子も有難がって飲んだことは想像に難くありません。
茶道の基盤ができたのは武士の間でお茶がたしなまわれるようになった鎌倉から南北朝時代といわれ、のちに千利休によって今に至る侘茶が完成されたのはご存じのとおりです。
日本では緑茶や紅茶として飲まれるお茶も国外では様々な飲み方がなされます。ブータンやチベットではバターに塩を加えたバター茶、中国のある民族では茶葉に塩、サンショウ、ニンニク、唐辛子を加えスープ状にして飲む民族もあり、飲むだけでなく茶葉を野菜として食べる地域もあるようです。
原産地の一つと言われる中国雲南省には2mを超える樹齢千年以上のチャノキ群落があり、木に登って茶摘みをするそうです。
山でお茶が無いときは、枝についたお茶っ葉を手に入れ、そのまま火で炙ると香ばしい香りがして、それをそのまま煎じると普通にお茶になるというワイルドな飲み方もあります。
九州の田舎では茶摘みの後に大きな釜を火にかけ、柿渋を和紙の表面に塗った丈夫な団扇を使ってかき混ぜ釜炒り茶にしました。いい香りがしたものです。
茶摘みがとてもできそうにもない急な崖に生えているものをみることがありますが、ネズミなどが実を蓄える貯食行動により生えてきたものと思われます。
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