菅さん提供
フッキソウ(富貴草 常緑小低木 ツゲ科)
花期3~4月 果期9~10月
フッキソウは山地の樹林下に群落を作る植物で、背丈20~30cmほどで菱形のような濃い緑の肉厚の葉を折り重なるように付け、一年中青々とした姿をしています。その姿と繁殖力も旺盛なことから繁栄を象徴する植物として、フッキソウ(富貴草)と名付けられたと言われていて、別の名でもキチジョウソウ(吉祥草)やキチジソウ(吉字草)というお目出たい名が与えられています。花言葉も「吉事」「良き門出」「祝意」と晴れやかです。なお、キチジョウソウには花が咲くと吉事があるという言い伝えのあるキジカクシ科の草本植物もあります。
フッキソウにしてもその別名にしても草の字が付くのは見た目によるものですが、実のところ常緑の多年草として扱われることもあります。幹と言うより茎と呼んだほうが良いような細い本体は基部が木質化し、先のほうが草のように柔らかい特徴から亜低木、半低木という言い方をされることもあって、多年草扱いされるのもむべなるかなという感じがします。
木質化する基部は年々太くなるかと言うとそのようなことはなく、年数を経ても直径は4mmほどのままで変わらず、折り取ろうとしてもかなり弾力があって折れにくい感触です。
白い花が先端に幾つもまとまって穂状に付きますが花弁はなく、太い雄しべが突き出たような形でお世辞にも奇麗とは言えません。それでもフッキソウがグランドカバーによく使われるのは、地面を覆いつくすような緑が半日陰のような所でも目に映えることによるものでしょう。
庭園の大きな群生の一面の緑は存在感がありますが、小規模な植栽地では地味で貧相に見えます。そのせいか、近所の公園の一角に植えられていたものは雑草に間違われたのか、草引きのボランティアの人に一本残らず引き抜かれてしまいました。
森の真珠とも言われる角の生えたような直径6mmほどの白い実は秋に実ります。花の数に比べると実の数は多くありません。その訳は花穂の多くは雄花が占め、雌花は花穂の下部に数個しか付かないことと着果率自体も低いようです。
実にはわずかに甘みがあって食べられますが、食べすぎるとお腹を壊すというのが通説になっています。実の数が少ないこともあり、口に入れるのは味わいを試す程度にしておきましょう。
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