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2020年7月25日土曜日

今月の樹木 2020年7月(エビガライチゴ)

菅さん提供


エビガライチゴ(海老殻苺 落葉低木 バラ科)

花期56月 果期78

 エビガライチゴは真夏に赤い実をつける木苺の仲間です。萼にはチクチク痛そうな赤っぽい腺毛が密生しています。実際には痛くはないのですが、それでもこの美味しい実を口に入れたくて一つ摘まんでみようと手を伸ばす時にはつい用心してしまいます。

 初夏に咲く花は、蕾が開いて淡い紅紫色の花びらがのぞいていても先はすぼまったままで日数が経過し、やがて平開することなく散ってしまうその姿は、クサイチゴやナガバモミジイチゴなどの花とはかなり異なります。この花の形はナワシロイチゴとそっくりですが、ナワシロイチゴのような上品さは全く感じられません。毛むくじゃらな花を見ればそれも当然でしょう。

 エビガライチゴの名は花の部分だけではなく、全体に赤紫色の腺毛が密生している様子を海老の殻に見立てたもの
のようですが、海老と言うより毛蟹の方が似つかわしい気もします。
 腺毛の陰に隠れて見落としてしまいそうですが、バラ科の苺だけに棘も備わっています。腺毛は(しゅ)によっては植物
を食べにやってくる害虫を防ぐ機能を持つとされていますが、エビガライチゴはこの腺毛と棘により外敵対策は万全
なようです。
 ここで疑問なのは、訪花昆虫にとっては花の周りの腺毛が脅威になるのではないかと言うこと。腺毛を気にせずに
受粉を手助けしてくれる昆虫がいると思われますが、開かない花に何か虫を呼び寄せる秘密が隠されているのかもし
れません。

 受粉後の花は花びらを落とした後に萼が閉じて中の実を保護し、果実が熟してくると再び萼が開くという特徴はナ
ワシロイチゴと同様です。異なるのは萼の腺毛の有り無しで、腺毛の先端からは粘着性のある液体が出ていて小さい
虫なら絡まって動けなくなってしまいます。受粉を手助けしてもらう時だけ都合よく虫を利用するとは、エビガライ
チゴも虫が良すぎますよね。

 海老殻を煮込めばコクのある美味しいスープが取れますが、この苺をホワイトリカーに付け込めばフルーティな香
りが楽しめる赤い果実酒になるといいます。まとまった量が手に入れば果実酒に仕込んでじっくりと味わってみたい
苺です。







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