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2021年11月27日土曜日

2021年11月 今月の樹木 

 菅さん提供


サイカチ (皁莢、梍 落葉高木 マメ科) 

                                花期56月 果期1011月                              

九州の田舎にいたとき通学路にサイカチの大木がありました。子供では二人で両手を回さないと囲めないほどの大木でしたが、幹には鋭い棘が至る所にあるので実際には手を回すことなどできません。

サイカチの棘は枝が変化したものと言われるように箸ほども長く、その所々からさらに爪楊枝ほどの長さの棘を付けるという徹底ぶりです。

学校の帰りには棘を折り取って、その先にプロペラ状に加工したススキの葉を差して風に当て、くるくる回る様子を楽しんだものでした。

夏のころには緑色で葉と同化していて目立たなかった果実は、秋になると黒味がかった茶褐色となりよく目立つようになります。長さが30cm近くもあるような平べったい豆果で、著しくねじれていることが特徴です。

サポニンという物質が含まれていることにより古くから洗剤として用いられてきたムクロジの果実と同様に、サイカチの果実もサポニンを含むことで、こちらも洗剤として利用されてきた歴史があるようです。

熟した果実は裂開せずに莢ごと落下します。莢の大きさとは不釣り合いなほど小さな1cmにも満たない平べったく固い種子が一莢に十個ほど収まっています。

ネット情報によると、種子は固すぎてそのままでは発芽できず、この種子を好む虫の幼虫が表皮を食い破らないことには発芽できないとありました。どのくらい固いものか噛んでみたことがありますが、歯型は付いても噛み砕くことはできませんでした。

別の情報ではこの果実を食べる動物により、消化されなかった種子が排泄されて発芽が促されるというもので、その動物とは絶滅したナウマンゾウであるという説です。
 動物の被食によって種子の発芽率が良くなることは知られていて、アフリカゾウがサイカチによく似た果実を食べているシーンを映像で見たことがありますので、この説には説得力があります。種子の大きさの割に莢が大きいのも、莢が美味しく食べてもらえるように進化した結果かもしれません。莢を開いてみると内側は粘っこく、それを舐めてみたところ香ばしい感じで甘さも感じられました。

数キロ離れた所の水の臭いまで分かるというアフリカゾウからすると、ナウマン象も遠くからサイカチの臭いを嗅ぎ分けていたのかもしれませんね。ねじれた莢も風に当たる面積を増やして臭いを遠くまで運んでもらう効果があったのかも。

若葉は癖がなく食用になりますが、種子を含めて果実は有毒のため、真似をして舐めるのは自己責任ということで。







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