菅さん提供
カヤ(榧 常緑針葉高木 雌雄異株 イチイ科)
花期5月 果期翌年9~10月
山歩きでは周りの樹木を観察しながら歩くことが習慣づいてしまったような昨今ですが、カヤの木を見かけることは滅多にありません。カヤに似た樹木を目にすることがあっても、それはほぼ間違いなく良く似たイヌガヤです。カヤとイヌガヤは見た目がそっくりで、すぐには判別できません。広葉樹であれば鋸歯の形や有無が主な判断材料になりますが、針葉樹ではそうはいかず、葉の形や枝に付く特徴が同定の決め手になります。
カヤはイチイ科で、イヌガヤはイヌガヤ科に分類されていますが、他人の空似でよく似ており、葉の裏に2本並ぶ線上の白い気孔帯が見分けのポイントになります。そうとは言っても見慣れていなければ判断に迷うことになります。そこで簡単な見分け方として、葉の先端の針のように尖った所を触ってみて、チクチク痛くて触れないようであればカヤ、あまり痛くなく触れるようであればイヌガヤということになります。
カヤは古くから利用価値の高い樹木として大事にされてきました。実は食用や油を採るのに利用され、材は将棋盤や碁盤としては最高級の素材として扱われています。美しい木肌と木目に加え駒を打った時の打ち味、音の響き、独特の香りが使う人を魅了するようです。長年使い込んでも油分を多く含むためツヤも失われないそうです。
柑橘系の香りのする果肉を取り除くと現れる種子から採れるカヤの実油は流通量が少ない高級品です。種子はナッツとしては高級品のアーモンドにそっくりで食べられます。味も似ているかといえばそれほど美味しいというものではなく、アク抜きすれば食べられるという程度のものです。
果肉部分を蒸し、精油成分や柑橘系の芳香成分を抽出してボディローションや入浴剤として商品化したものは希少性もあってこちらも高級品。
ここで実の意外な使い方としてお酒飲みの方には耳寄りな情報をひとつ。実をウォッカに丸ごと漬け込むと柑橘系の香りの爽やかなお酒になるそうですよ。左党を自任する方は新鮮な実が手に入ったならぜひお試しあれ。
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