菅さん提供
ミツバウツギ(三葉空木 落葉低木 バラ科)
花期5~6月 果期9~11月
唱歌の夏は来ぬに出てくる卯の花は初夏に白い花を咲かせるウツギを歌ったものですが、同じころに咲くウツギにミツバウツギがあります。
ウツギは漢字では空木と書き、材が空洞になっていることに由来するもので、ミツバウツギはその名の通り3枚の小葉がセットになった三出複葉の形になるのが特徴です。白い花はウツギに似てはいますが三出複葉の葉をつける樹木は限られていますので同時期に咲いていても判別は容易です。花には甘い香りがあることもウツギとの区別点になります。
余談になりますが、ウツギの花には香りはほとんどなく、唱歌で卯の花の匂う垣根にとあるのは香りを詠んだものではなく、花の美しさを匂うと表現したと解釈するのが一般的なようです。美人のたたずまいを匂い立つような美しさと表現することがありますが、作詞者は卯の花の美しさを擬人化したのかもしれません。
ミツバウツギの花は5弁で雄しべの周りを囲むような形をしています。過去に開花している花を写真に収めたく何度か同じ場所を訪れたことがありますが、半分ほど開いたものはあってもついぞ全開した姿を見ることはできませんでした。それもそのはずで、花弁が開かないのがこの花の特徴であり、そのことを知ったのはこの花に興味を持ってずいぶん経ってからのことで、半分開いていると見ていたものは萼とのこと。花言葉に謙虚とあるのも花が平開しないことによるものだそうです。
若葉と蕾は山菜として利用できるようです。アクやクセがなくおひたしや和えも、天ぷらがおすすめで、そのうえ若葉には上品な香りもあるそうですので、山菜の女王と言われるコシアブラより高級品かもしれません。
果実は一見すると風に乗って飛んでいきそうな軍配の形とか矢筈形と言われる変わった形をしていて、成熟した果実の中には5㎜ほどの褐色の種子が数個入っています。風で飛ばされるには種子が大きく、果実も成熟すると扁平な形ではなくなって膨らむので風散布ではなさそうです。鳥が果実ごと食べて運ぶには成熟するころには褐色に変化して鳥には目立ちません。
そこで、果実も種子も目立たない色であることと、果実の下側が裂開して種子がこぼれ落ちるという
情報もあることからネズミなどの小動物による貯食散布ではないかというのは小生の素人考えです。
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