菅さん提供
ナラガシワ(楢柏 落葉高木 ブナ科)
花期4月果期10月
カシワの木は日本全国に広く分布していて、その大部分は北海道や東北地方などに集中しているそうです。実際に関西の山で見かけることはまずありません。その主な理由はカシワは成長が比較的遅い特徴があり、関西のような温暖な地域では、コナラ、クヌギ、アラカシといった他のどんぐりの木や常緑樹の成長スピードに負けてしまい自生しにくいとされています。
端午の節句の行事食と言えば柏餅が一般的ですが、カシワの葉が手に入りやすかった関東に対して関西ではちまきの食文化が発達したようです。
柏餅の起源については、カシワは新芽が出るまで古い葉を落とさないことに掛けて子孫繁栄の縁起物として、江戸時代中期の江戸が発祥の地とされています。関西地方や中国・四国地方ではカシワの葉によく似たナラガシワの葉を柏餅に使うこともあるようです。大名の参勤交代を通じて柏餅が食文化として地方にもたらされたものかもしれませんね。
かつての日本では広い葉を持つ植物を総称してかしわと呼び、食物を盛ったり包んだりするために使っていたそうで、今でもアカメガシワやコノテガシワの名称が残っています。
植物生態学者の服部保教授の川西市畦野一帯の自然や里山、歴史的背景をテーマに執筆された畝野物語によると、飛鳥から江戸時代まではナラガシワがカシワの代表であり、単にカシワというとナラガシワを指したものが、近代の植物分類学者が今でいうカシワにその名前を与えてしまったと言うことです。
古代において、ナラガシワの葉を数枚丸く並べ、竹ひごで綴ってお皿状にしたものを葉盤(ひらで)と言い、食物を盛るのにれましたが単なる食器ではなく、神事や祭祀の際に用いる神聖なものとして扱われたそうです。平安時代には毎年何十万枚ものナラガシワの葉が摂津、丹波、播磨、山城などの近隣諸国から祭りごとを執り行う京へと送られていたと同物語にあります。
ちまきは一般的に笹の葉を使いますが、北摂里山地域の一部では全国的にも稀なナラガシワの葉で包む作り方が伝承されています。柏餅を思わせるほのかな香りのちまきとのこと。
ナラガシワの名は葉がカシワとコナラやミズナラなどとの中間みたいな形から名付けられたもののようです。カシワに名を譲り、ナラともカシワともどっちつかずの名を与えられたナラガシワは損な役回りの樹木なのかもしれません。
ドングリはクヌギのものと大きさはほぼ同じですがやや細長くなるものが多いようです。

